みずがめ座
月の光に照らし出す
偽装された願望としての幻想
今週のみずがめ座は、夢の中で垣間見た宗教画のごとし。あるいは、自分を取り巻く幻想の中に集合的な願いを見出していくような星回り。
フロイトは晩年期に書かれた『幻想の未来』において、「宗教的な観念とは、経験の集積や思考の最終結果ではなく、幻想であり、人類の抱いているもっとも古く、もっとも強く、もっとも差し迫った願望の現実だ」と述べています。
人々が、さまざまな場面で他者へ投影したり夢のなかで具現化していく幻想は誤謬と同じではなく、むしろ切実な願いを芯に含んでいる大切なものであるとの考えを強調しています。
つまり、ここでは「宗教」の本質が、人間の無力さや罪深さをめぐる感情の中にではなく、そうした感情から救われようとする人々の願いにこそあるものと考えられている訳です。
そういう意味では、「自分はきわめて現実的な思考をしている」と考えて夢や幻想の意味や価値を否定する人ほど、宗教的な立場においては自己欺瞞に陥っているのだと言えるかもしれません。
その意味で、19日(金)にみずがめ座から数えて「信念」や「宗教」を意味する9番目のてんびん座で満月が形成される今週は、あなたにとって心から願っているものは何なのか、すなわち、救われたいと感じている気持ちは何なのかということに、少なからず光が当たっていくことになるはずです。
「まさか」や「もしも」の正体
自分が掲げている価値観や大事にしている考え方を心から信じているのなら、今は立ち止まって心のどこかで引っかかっている気がかりや胸のつかえと、きちんと向き合ってみることの方が大事かもしれません。
「まさか」の瞬間はいつやってくるか予想がつきませんし、自分だけは例外だと考えて「もしも」の時への備えを怠る者は、肝心なところで運命にいたずらされ、裁きのまな板にのせられてしまうものです。
この先も心の奥底で暗い不安をずっと膨らませていくくらいなら、いっそここらで思い切って「まさか」や「もしも」の正体を突き止め、不要な不安を消し去っておくのも悪くない選択でしょう。
これまで胸の奥にそっとしまいこんできた不安の種や、単なる幻想として退けてきたビジョンがあるのなら、このタイミングで白日の下に晒してしまってはいかがでしょうか。
今週のキーワード
ホモ・レリギオス(宗教的動物)