みずがめ座
新しさを身にまとう
ふだん着感覚
今週のみずがめ座は「ふだん着でふだんの心桃の花」(細見綾子)という句のごとし。あるいは、予測不可能な事態を肩の力を抜いて、もっと気軽に楽しんでいこうとするような星回り。
作者は旧かな遣いの時代の人ですが、平成の若い学生の俳句とも言われても信じてしまうような「ふだん着感覚」がある。つまり、どこか新しくて、カジュアルなのだ。
この「新しさ」というのは実に不思議で、最新の流行がなんでもかんでも「新しい」と感じさせる訳ではなく、「いつ見ても新しい」なんて感じ方もって、大抵のものが出た最初から新しくない中で、ごくまれに、つねにずっと新しいものが現われてくる。
そういう意味では、彼女の俳句も一見すると地味なのですが、今の時代に読んでもどこかモダンに感じさせる、いつまでも古びない新しさがあります。
そうそう、掲句について1つだけ補足するとすれば、昔は花が咲くことを「花笑み」と言いました。桃が笑って、人が笑って……。そうした光景はやはり構えた心持ちからではなく、虚勢や背伸びのない「ふだんの心」があって初めて生まれてくるのでしょうね。
3月6日(水)の天王星のおうし座入りを直前に控え、力みの出やすい今だからこそ、こうした作者の「新しさ」の心持ちを大切にしたいところです。
内なる子供の声を聞こう
「遊びをせんとや生まれけむ 戯れせんとや生まれけん」という梁塵秘抄(りょうじんひしょう)の有名な歌の箇所には、「遊ぶ子供の声聞けば 我が身さえこそゆるがるれ」という続きがあります。
これは前半だけ聞くと、遊女が自分の境遇を見つめて、こんな風に遊びや戯れのようなことばかりするために自分は生まれてきたのだろうか? と疑問を感じているさまを詠んだものと思えるのですが、実はいまだに解釈が分かれているのだそうです。
しかし続き部分まで読んでいくと、むしろ禁欲生活をしてきた出家者が、子供が無邪気に遊んでいる声を聴いて揺れる心を歌っているものと解釈した方が自然なように思えます。
いずれにせよ、子供の声にも真剣に耳を傾け向き合うという行為は、今週のみずがめ座にとって大きなヒントを与えてくれるでしょう。見栄を捨て、アホみたいになれるかどうかが時に大きな運命の分かれ目となるのです。
今週のキーワード
遊びをせんとや生まれけむ