みずがめ座
導かれて一つ所に帰ってゆく時
この世に着地するのを助けてもらう
今週のみずがめ座は、動物の助けを借りたヘンゼルとグレーテルのごとし。あるいは、誰かの助けを借りて、自分自身を思い出していくような星回り。
現代では人間が動物を保護し、優しくすべき脆くか弱い存在として、その本来の力をすっかり剥奪している訳ですが、歴史的にはむしろ人間を保護し、援助する存在としてあった時代の方がずっと長く続いてきました。
例えばグリム童話の「ヘンゼルとグレーテル」では、邪悪な魔女が惨めに焼け死に、兄と妹で死の森である魔法の森から急いで脱出する際に、大きな川にたどりつく下りがあります。
「渡れないな。橋も渡し板もありゃしない」、とヘンゼルが言えば、「小舟ひとつ通っていないわ。でもあそこに、白いカモが一羽泳いでる。渡してくれるよう、お願いしてみない」とグレーテルが提案し、無事にカモに川を渡してもらって向こう岸にたどりつくや、森は2人に馴染み深いものになっていきました。
向こう岸に渡る術のない大きな川とは、すなわちあの世とこの世の境界線であり、つまり最後に2人はこの世に戻った訳ですが、そこには数々の危険や障害が隠れているため、熟達の案内人が必要とされるのです。
しし座で月蝕を迎える今週は、みずがめ座の人にとって、精神がふわふわと浮かび上がり、自分以外の思念や感情へと引っ張られ、流されていきがちな時期かもしれません。
そんな自分をきちんと慣れ親しんだ肉体や日常へと戻してくれる、飛行機の着陸誘導員のごとき存在を見出し、その力を貸してもらうようお願いしていきましょう。
唯一つの身体
例えば、てんとう虫は漢字で「天道虫」と書くように、もともと光に向かう習性を持ち、木や葉っぱや指先てっぺんまで登ると、パッと天に向かって飛び立っていくことから、世界中で“太陽神の使い”と考えられてきたようです。
しかしここで大事なのは、太陽はこの世に1つしか存在していないということ。
もし3つも4つも太陽があれば、てんとう虫も使いとしての役割を全うすることはできないでしょう。
つまり、どこに帰っていくべきかが定まっていなければ、どれだけ優秀なガイドがいたとしても、適切に導いてもらうことは難しいのだということです。
しかし、たどり着く先が1つしかないということは、よく子供の無限の可能性が歌われてきたことと併せて考えてみると、なんとも不思議な話ですね。
今週のキーワード
不安を鎮める