みずがめ座
陰の努力
演出への愛
今週のみずがめ座は「吹雪とは鷹の名なりし放ちけり」(勝又一透)という句のごとし。すなわち、準備に準備を重ねて、自らの活躍を演出していこうとするような星回り。
鷹匠(たかじょう)は、鷹を飼育し訓練して狩りをする人のことだが、ハヤブサには名前をつけず番号で呼ぶ一方で、オオタカには産地にちなんだ名前をつける決まりがあるらしい。
だから、掲句の「吹雪」も比喩というよりは、雪国かどこかで産まれたオオタカなのだろう。
ちなみに鷹狩のことを「放鷹」とも呼び、見ている分には実に爽快で格好よく感じられるものだが、鷹というのは決して人に躾けられたり命令に屈服したりすることはないそう。
だから鷹匠は、鷹狩にあたって舞台となる地形や気象条件や獲物となる鳥などを前もって調べあげ、その前にも非常な根気強さで鷹の属性や特性を見極め育てあげる必要があるのだとか。
つまり、舞台演出のために膨大なエネルギーを費やしてやっと迎えた晴れの瞬間を詠んだのが掲句であり、そこには鷹に「吹雪」と名をつけた鷹匠の「吹雪よ、頑張れ、目にもの見せよ」という執念とも愛情とも区別のつかぬ思いが満ち溢れているのです。
今週のあなたにもまた、そうして秘めてきた思いの一端を放っていく瞬間が訪れるかもしれない。
ただ、大切なのはそこにいたるまでの準備の過程自体を愛し楽しむこと。
「指さし確認」の効用
誰も見ていないところでどれだけ手を抜かず、陰で大きな責任を担っていけるかという意味でいうと、電車の車掌さんの「指さし確認」のことが思い出されます。
ヒューマンエラーや人災の発生を少なくするため、鉄道だけでなく建設業や製造業の現場でも広く取り入れられている指さし確認ですが、目で見るだけの場合に比べ、ミスが3分の1程になるそうです。
これは、会話の成立しないはずの動物や乳幼児にも積極的に話しかけていくことの効用にも通じるところがあるように思います。
どんな相手であれ、真実味のある付き合いをしていくためには、まずその対象にきちんと注意を向けていくことが大切です。
逆に言えば、たとえ一緒にいても、大抵の場合、意識は対象に集中しきれず、辺りをさまよってしまうもの。そういう前提に立って「対象にきちんと注意を向ける」ための努力を重ねていくことで、対象への愛情も育まれていくのです。
- 目で見て
- 腕を伸ばし指で差して
- 声に出して
- 耳で自分の声を聞く。
目を向けるべき対象に注意を定め、愛情を育む。今週はどうかそうしたことを大事にしてみてください。
今週のキーワード
愛情を育むために