みずがめ座
自分で自分を活かす
何を見出し、取り入れるべきか?
今週のみずがめ座は、「木がらしや目刺にのこる海のいろ」(芥川龍之介)という句のごとし。あるいは、画竜点睛。その一点のひらめきを待ち受けていくような星回り。
冬の季語である「木枯らし」が吹く中、作者はあの鋭い視線で「目刺(めざし)」を見つめていたのでしょうか。
最近あまり目にすることはなくなりましたが、目刺と言えばかつて一般家庭の食卓では非常にポピュラーだったおかずで、イワシ類の小魚を塩漬けした後、目から下アゴへ竹串やワラを通して数匹ずつ束ね、乾燥させた干物のこと。
おそらく何匹かつらなった干しイワシの肌に、作者はついに「海のいろ」を見て取った。すっかり干からびて命のなくなった魚体に、生のおもかげのような「いろ」を改めて発見したのかもしれません。
その瞬間、荒涼とした冬の大地でただ死を迎えるばかりだったわが身にも、いきいきとした生命エネルギーが流れ込んでくるのを確かに感じたはずです。
今週のあなたもまた、そんな作者のように一見なんでもないような光景の中に、わが身を明日へと繋いでくれるような一種の“特異点”を見つけ出していくでしょう。
異界を作りだすということ
最近はあらゆることがマーケティングで考えられるようになりました。売るための分かりやすさや役立つことが求められ、提供する側も本音を言わずポジション・トークに徹していく。
そして若い学生までもが、同じようなことを就活などでやっていくうちに、「大人は誰も分かってくれない」なんて愚痴をこぼしたりしている。
どうも時代がキナ臭い方へ向かいつつあるように感じますが、物語でも歌でも教育でも、魂ということを対象に置くなら、まず「ここではない異界」を作りだすことを考えなければいけないと思います。
たとえば謎めいて気分屋なノラ猫は、それは見事に異界を作りだします。
社会の大人達からすれば、何でもないような意味の空白地帯である公園の一角に、猫がたたずむ。すると、風はもう静まって、猫は柔らかい機械の振動へと変わりいよいよ空気を震わせ、一瞬の内に月光を冴え冴えとしたブルーに様変わりさせてしまう。
そうした光景を垣間見たときの、「とんでもないものを見てしまった」という驚きこそが、魂をことほぐ最高の贈り物であり、そのための余地や余白を作りだしていくことこそが、魂に対する敬意の払い方なのです。
今週のキーワード
自分へプレゼントを贈る