みずがめ座
自己治癒の契機
どうしようもないけど悲しい
今週のみずがめ座は、見えない傷を癒していく時。あるいは、これまで胸に秘めてきた「どうしようもないけど悲しいこと」を少しだけ開示していくような星回り。
少し前から『死ぬこと以外はかすり傷』という言葉をネットで見かけるようになり、つい最近には、有名な編集者がそのまま自分の本(自己啓発風味のビジネス書)のタイトルにもしていた。
こういう言葉で自分を奮い立たせられる人たちも世の中にはそれなりにいるのかもしれないが、どこか引っかかってしまう人たちもまた少なくないのではないか。
だって、死ぬこと以外にも世の中にはかすり傷ではすまないばかりか、自分ではどうしようもないと感じてしまうことって、案外たくさんある気がするのだ。
孤独とかいうものも、誰かと離れてしまうことも、無数に転がっている「どうしようもないけど悲しいこと」の1つだろう。
もちろん、この世でいちばんどうしようもないことは死んでしまうことだけれど、生きている限り、私たちは死ぬこと以外の不条理や寂しさを抱えたまま、その日その日を生きていかなくちゃならない。
そういう「どうしようもないけど悲しい」という‟感じ”を誰とも分かち合わずに生き続けられるほど、人は強くもなければ、つねに前向きではいられないはず。
今週は、自分の中でため込んできたどうしようもなさへの‟感じ”を、そっと誰か何かと分かち合うことで、自分を癒していくことを大切にされてください。
胸の内を分かちあうということ
別に詩や小説なんて読まなくたって生きていけるし、国を豊かに富ませていく上で何の役にも立たないじゃないかという意見に対する完璧な回答というのもいまいち思いつきません。
けれど、もしそういうものが必要とするタイミングがあるとすれば、それはやはり人が「どうしようもないけど悲しいこと」に直面した時でしょう。
かすり傷だって、膿んで熱を持つことだってあるのだ。
そして自分と同じように、あるいは胸の中でもっと深く強い悲しさや暗闇を抱えながら詩や物語や知を紡いできた先人や同時代人の存在は、秘密を分かち合える貴重な同胞のように感じられてくるはずです。
今週は、そうしてそっと胸の内を分かち合っていけるような期待や衝動に身を任せてみるといいでしょう。
今週のキーワード
かすり傷を見過ごさない