みずがめ座
うつろいながら生きていく
金継ぎの美学
今週のみずがめ座は、壊れた器を時間をかけて、丁寧に生まれ変わらせていくような星回り。あるいは、神聖なる神殿としてのこの身の器にふさわしい装いへと整えていくこと。
金継ぎとは陶磁器の割れや欠け、ヒビなどの破損部分を漆によって接着し、金などの金属粉で装飾して仕上げる修復技法のことで、非常に古いルーツをもつ日本の伝統技法です。
完璧な人間などこの世にはいませんが、それでも多くの人はそうであることを価値と見なし、傷跡をできるだけ人の目から隠して、なかったことにしようとします。それが愛されるための唯一の方程式であると言わんばかりに。
しかし、私たちが何か大事なことに気がつく機会というのは、大抵は狭く短いものであり、そういうフラジャイルな情報を遮断しないでいることによって、別種の美しさを手に入れていけるのだということを忘れてはいけないように思う。
今週は「完璧さ」や「調和」への「強化」という仕方とは別のスタイルで、自分自身を回復させていく過程をたどっていくことが、テーマとなりそうです。
脆弱を去来する何かがあるということ
ここで注目しておきたいのは、「うつろい」の感覚だろう。
これは「ウツ(空)」という言葉を語幹として生まれた言葉で、空疎な状態になにかがやってきて移っていくことをいう。
フラジャイルな情報を遮断しないでいるというのは、そういう移り変わりの中で、自分もまた変わっていっていってしまうということなのだと思う。
完璧なオリジナルがどこかにあって、定期的に元通りに復元していこうとするのではなく、時と共に自分もうつろい、そこで生じる歪みを味わい愛でていく。そこでは、生きることは生まれ変わることに他ならない。
そのきっかけを、今週つかんでいけるといいのですが。
今週のキーワード
フラジャイル