うお座
夢への奉仕
自覚的に夢を見る
今週のうお座は、好きで映画のエキストラを演じている人のよう。あるいは、集合的な夢に参画して下支えしていこうとするような星回り。
映画というのはたくさんの人の手によって作られる集合的な夢のようなものであり、それは興行主がいて、観客がいて、脚本があって、監督がいて、登場人物を演じる役者たちがそろって初めて成り立っていきます。
さらに、映画にリアリティーをもたせていくためにはもう一つ、登場人物の背景となる無名の人々を演じるエキストラの存在が欠かせません。
エキストラというのは、撮影現場などの裏側の事情を知れると同時に、映画という夢の一部になれるという意味で、好きな人にはたまらない楽しさがあるそうですが、それは言わば他人の見ている夢に、そうであると知りながら、自覚的に入っていって下支えしていく営みであるとも言えるのではないでしょうか。
とはいえ、人がこの世を生きていること自体が、そもそも劇であり、幻想であるとも言える訳ですが。
22日(金)にうお座から数えて「役柄にはまり込む」を意味する10番目のいて座へと太陽が移っていく今週は、改めてカツラをかぶって時代劇へと臨んでいくくらいのつもりで過ごしていくとちょうどいいのではないかと思います。
名前のついていない仕事に目を向ける
主婦の家事労働など、いまだ市場経済において産業サービスとして見なされていない生産行為を、オーストリア生まれの文明批評家イヴァン・イリイチは「シャドウ・ワーク」と名付けましたが、世の中にはまだまだそういう「名前のついていない仕事」がゴロゴロ転がっています。
イリイチによれば、学校の中の生徒、病院における患者、交通機関における通勤・通学者もまた、シャドウ・ワークの担い手であり、こうした概念を通して見ると、労働や仕事に関する既存のイメージがいかに柔軟性を欠いた硬直物であるかを思い知らされます。
今週のうお座もまた、どこかでそうした「シャドウ・ワーク」に光を当てて、自分の演じる役柄のイメージへと紡ぎなおしていこうとする傾向が出てくるでしょう。
「縁の下の力持ち」という言葉もありますが、そんな人間生活を支えるサブシステムが、誰からも顧みられることなく老朽化し、放置されていった結果、全体が立ちゆかなくなるということはこれまでも多くの人が経験してきたはずです
そうしたリスクにきちんと目を向けて、まずは自分の中で見方を変えていくこと。 主人公とヒロインの恋物語も、そもそも両者が無事に生育されていくのに必要な環境が整えられ、さらにそれを支える無名者たちの労働なしには語られえないのです。
今週のキーワード
シャドウ・ワーク