おひつじ座

私らしさが生まれるとき
2021年上半期のおひつじ座のテーマは、 「宿られた場所」としてのおのれを再発見していくこと。
今季のあなたは自分がどこからやって来て、どこへ向かおうとしているのか、ますます分からなくなっていくはず。従って、これまでのただ無力な存在か、はぐれ者の一匹オオカミか、といったありきたりな図式はもはや通用しなくなっていくでしょう。でも、だからこそ、自分が一体何者なのか、その吐き出す言葉が誰に託されたものなのかを、ここで改めて調査していかなければなりません。
調査とは、対象の人生に手を入れ、晒すこと。すなわちそれは、自分が語っているその息遣い、ここぞという場面で記される言葉が、自分以外の、どこからもたらされているものなのかを自覚し、深く知った上で、誠実な「語り手」および「書き手」となっていくことでもあります。
コトバとは根源的には呪術的なもの。今季のあなたは 自分を突き動かすコトバがみずからに宿っていくなまなましい現場に立ちあい、そこで自分が何者であろうとしているのかを、改めて目撃していくのです。
2021年上半期、各月の運勢
1月「断ち切って突き抜けろ!」
21日におひつじ座の守護星である火星が「逸脱と覚醒」の星である天王星と重なります。これは昨年後半からの長い苦闘期間を経たからこそたどり着けた、一つのブレイクスルーを果たしていく暗示。天王星は身近な環境からの影響をスッパリと断ち切りますから、この時期とっさに協調性のない行動に走ったり、孤立してしまうこともあるかも知れません。けれど、 ここで下手に迎合せず、遠慮せず、決然たる態度を取って風穴を開けていくことで、逆に新しい価値観を持っている仲間や真の理解者に迎え入れられてくだせえ!
2月「人間関係の“水風呂”にチャレンジ」
20日にはおひつじ座の守護星である火星が、今度はみずがめ座の金星と緊張感のある角度(90度)をとります。これは 驚きや衝撃を伴う恋愛が伴わない友愛的な関係を通して、あなたの魂が活気づけられ、より貪欲になって欲望に火がついていくことを表します。これはある種のショック療法であり、熱いサウナだけでなく、冷たい水風呂と交互に入ることで交感神経が刺激され、血流が良くなって「整う」感覚に似ているかも知れません。その意味で、この時期に常識に囚われない風変りな関係性に飛び込んでみることは、あなたの対人キャパだけでなく人生の活路を広げる上でも大いにプラスに働いていくでしょう。
3月「自分から箱に入る」
20日の春分の日には、やはりおひつじ座の守護星である火星が「試練と克服」の星である土星と吉角(120度)をとっていきます。1月2月の型破りなエネルギーがここでいったん落ち着いて、枠にハマっていく流れに。ただし、それは必ずしも否定的な意味でのパワーダウンを意味する訳ではなく、むしろ無駄な動きを省いて特定の目標に集中していくモードに入ることを暗示します。特に、 偏見への恐れや家庭の事情などで今まで本気で着手できなかった課題や目標がもしあるのなら、このタイミングでみずからに「締め切り」を設定して背水の陣を敷いてみるとよいかも知れません。得られる成果がどんなものであれ、それは確実にあなたに新たなアイデンティティと自信を与えてくれるはずです。
4月「ボケにボケを重ねまくる」
15日にはおひつじ座の太陽が火星と木星と吉角をとり、三角形を形成していきます。これは好きなことや気になったことへのやる気(火星)が、もくもくと煽られ乗せられていく(木星)うちに、自分ひとりで満足するだけでなく人にその楽しみや恩恵を分け与えていこうとする(太陽)という配置。4月の前半は、 とにかく徹底的にのびのびと楽しむことを大切にしてください。それがいざという時のための引き出しを作り、ピンチの時も自分を支えてくれるかけがえのない資産となるから。ボケられる時はボケるだけボケておけばいいんです。後は勝手に人生の方からツッコミを入れてくれます。お楽しみに。
5月「受動的自由から、能動的自由へ」
12日におひつじ座の守護星である火星が、「独立とネットワーク」の星でもある天王星と吉角(60度)をとっていきます。1月に天王星と火星が重なり“勇み足”を促された時とは異なり、今度は不意に投げられたチャンスや降ってわいたリスク(天王星)に対し、だいぶ余裕をもって打ち返していくこと(火星)ができるはず。思い切って誰か他者の力を借りるのでもいいし、逆に他人事に巻き込まれてみるのもいい。どちらにせよ、 自分ひとりで我慢したり、重荷を抱え込んでいるよりも、その方がずっと自由で、人間らしく在れるのではないでしょうか。肩の力を抜きつつ、もう以前の自分ではないことを確かめていきたいところです。
6月「宗教的な儀礼のごとく」
10日には、おひつじ座から数えて「言語の獲得」を意味する3番目のふたご座で皆既日食が起きていきます(日本では直接見られませんが)。言語の獲得とは、自己を通じてあらわれ出ようとする「声」の通路となることであり、そうなるためには、まず何者かが語りかけてくるのを待つことができなくてはなりません。つまり、 ここで自分の言葉を持つとは、言葉によって救われた経験を持つということを指し、そうして生まれ変わっていくことがこの時期のテーマなのだと言えるかも知れません。全身全霊でコトバの訪れを感じ取っていくべし。
2021年上半期、おひつじ座が心に留めておきたい芸術家
石牟礼道子(いしむれみちこ)
作家。決定的な人災であり、文明の病いとしての水俣病について、美しく豊かな風土と命を奪われた人たちの思いを方言のままにつづった鎮魂の一大叙事詩であり、代表作である『苦界浄土』(1969)で「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるマグサイサイ賞を受賞。彼女は深く現実に根差した力強い運動家であり、凄まじい語り部でもあった。
「あねさん、魚は天のくれらすもんでござす。天のくれらすもんを、ただで、わが要ると思うしことって、その日を暮らす。これより上の栄華のどこにゆけばあろうかい。」