おとめ座
千里の道を行くために
道なきところに道らしい景色を見出し、これまで自分が納まっていた小さな現実の“箱”から脱け出していくこと。2020年のおとめ座には、そんなテーマが示されていましたが、下半期に入るとそれはもはや引き返すことのできない“旅路”へと徐々に変わることでしょう。
その際ロールモデルとなるのは、かつて大航海時代に世界中へ飛び出していった冒険者たちかも知れません。例えば、アメリカ大陸を発見したコロンブス。
彼の実際の功績は、厳密には新大陸の発見ではなく、大西洋を横断する新航路の発見でしたが、彼の残した航海日誌を読んでいると、港から出発するたびに新しい土地を発見しては「この川と港をサン・サルバドールと名づけ」とか、「この川をマーレス(海)の川と名づけ」などと命名していたことが分かります。
壮大なスケールの新発見も、元をたどれば手探りの地道な観察の積み重ねであり、新しい事実が目の前に広がっていく経験を何度も何度も経ることで初めてそれは“発見”に育つのです。
今期のおとめ座もまた、時に失敗はあれども、自分なりのフロンティアを求めて、めげずに先を目指していきたいところ。
7月「産みの苦しみ」
7月2日に3月下旬からみずがめ座に入っていた「点検と再構築」の土星が、再びやぎ座に戻ります。これはおとめ座にとって、趣味や作品作りにおける“産みの苦しみ”の最終フェーズであり、あるいは他の誰かにあなたなりの素直な気持ちや本音をぶつける勇気が求められていくのだと言えます。拒絶されることに恐れを抱くと、つい完璧なもの、認められるものしか見せたがらないですが、宝の持ち腐れにならないよう、そこにいかに折り合いをつけるかが今期の焦点になってくるはず。
8月「殻が破れていく」
8月8日に「愛着と交流」を司る金星がかに座へ移り、18日にはおうし座の天王星と吉角をとっていきます。これはおとめ座にとって、明確な価値基準にもとづいて、信頼できる、有意義な関係だけを選び抜いていくことで「仲間」が選びだされるタイミング。そこではどれだけ常識にとらわれずにいられるか、また、独創的な思考の持ち主や世間一般の枠におさまらない生き方をしている“アウトサイダー”に自分を寄せていけるかが問われていくでしょう。
9月「“下手の横好き”を発動せよ」
9月13日には「楽観性と自我の膨張」を意味する木星が順行に戻ります。これはおとめ座の人たちにとって、自己表現活動の活発化という形で現われてくるでしょう。普段なら完璧主義や自己否定的な心理が邪魔してなかなか人目に触れるところへ出せなかったことも、自然と抵抗感なくアウトプットしていくことができるようになっていくはず。いきなり手柄や成果にすることは考えず、まずは自分自身が楽しむことを大切に、とことん遊びつくしていきたいところです。
10月「自分なりの“経済”を確立していくこと」
10月14~15日に「意志と情熱」を司る太陽が、「既存システムの崩壊と再生」を表す土星&冥王星の組合せと激しい角度(90度)を取ります。この土星&冥王星のコンビは2020年の大激変を象徴する配置でしたが、おとめ座の場合、ここでは特に経済面やお金の稼ぎ方において改めて変化を迫られていくことになりそうです。どこに住み、何にお金を使い、どんな人との関わりを望むのか、そんな“経済”の成立要件について、熟慮の上でしっかりと選択するべし。
11月「絆や喧嘩がもたらすもの」
11月14日には“エネルギーの昇華”を司る火星が、逆行期間を経て2カ月ぶりに順行へ。ここから火星がおうし座へと抜ける正月明けまでは、仕事でも恋愛でも急な展開を望んでいきやすいかもしれません。他人の感情に深入りしたりされたりしやすくなるので注意が必要ですが、一方でこの時期は肉体や意識の限界を飛び越えて誰か何かとの絆を深めていくチャンスにも恵まれやすいはず。そうした“絆”があなたに何をもたらしてくれるのか、自分の手でしっかりと確かめていきましょう。
12月「放棄なくして転換なし」
12月22日には、いよいよみずがめ座で社会性を司る両輪である木星と土星が重なり、約200年ぶりに時代を動かす基準が「土(モノの豊かさ)」から「風(コトの幅広さ)」へと本格的に移っていきます。これはおとめ座から数えて6番目の「働き方と健康管理」の位置で起きますから、何を労働の対価とすべきかという基準の転換として、そしてもはや応える必要のない命令の放棄としてあなたの前に立ち現れていくでしょう。
2020年下半期、おとめ座が指針にすべき偉人
「クリストファー・コロンブス」(1451~1506)
大航海時代のパイオニアであり、一般にアメリカ大陸の発見者とされています。スペイン王室の資金援助で船出したのは1492年。224日におよぶ航海を無事に遂行し、島の風土の記録や先住民との交流、交易品の確保などを行ってスペインへ帰国した彼は、王宮で大歓迎を受けてすぐさま次の航海を企画する生来の冒険者でした。
前例のないこと、不可能なように思えることにチャレンジしたり、その実現を模索し始めていこうとしているおとめ座にとって、コロンブスの生き様、特にその孤独さには、どこか心惹かれるものがあるのではないかと思います。