うお座
突き抜けるための工夫と訓練
うお座にとって2020年は、これまで以上にますます自由になって、「出過ぎた杭」的存在となれるかどうかの分水嶺となる年。そして、それには何か本気で没頭できる対象や、自分なりに真剣になれるテーマを見つけることが求められてきました。
そんな2020年も下半期に入ってくると、ただ勢いだけでなんとかしようとするのでなく、それを可能にさせてくれる状況や環境を自分の手で作り出していけるかどうかが問われていくように思います。
例えば、フランスの哲学者ベルクソンは、時計の針が刻むような、誰にとっても平等に流れている客観的な「物理的時間」とは区別して、「心理的時間」という考えを打ち出し、これを生きている人そのものに関わる極めて大事な領域として、次のように述べました。
「自由行為は、流れつつある時間の中で行われるもので、流れ去った時間の中で行われるものではない」
つまり、過去の実績や評価、世間や周囲の反応にばかり気を取られるのではなく、今この瞬間に自分の元へ「流れつつある時間」に注意を向け、その生き生きとしている時間を、計測可能な科学上の時間と乖離させていくほど、人は自由になっていけるのだということ。
そうして、自己の外側にあるものに行動させられるのではなく、あくまで自己の内に流れている「活きた時間」に少しでも長く自分を置いていけるようになっていくこと。それが、今期のうお座の最重要課題なのだと言えるでしょう。
2020年下半期、各月の運勢
7月「ビジョンへ向かう努力」
3月下旬からみずがめ座に入っていた「試練と再構築」の土星が、7月2日に再びやぎ座に戻ります。これはうお座にとって、結局のところ自分は社会や世界に何を望んでいるのか、ということを一つのビジョンにまとめあげていく最後の仕上げに入るのだ、ということを表しています。ただもちろん、理想に対して努力の方向性がずれていたり、誰とも共有できていないのであれば、あなたの望みは漠然とした期待にすぎず、おそらく近い将来、失望や落胆へと変わっていくはず。ビジョンとそれに向かう行動、どちらも視野に納めていくべし。
8月「新たな趣味の研究&開発」
8月8日に「愛着と交流」を司る金星がかに座へ移り、18日にはおうし座の天王星と吉角をとるため、心がワクワクとドキドキに満たされていきやすいはず。人によっては新たな趣味に目覚めたり、今まで知らなかった世界にどんどん足を踏み入れて帰って来れなくなってしまう人も出てくるかも知れません。ただし、あまり実用性がないものにお金を湯水のごとく使いかねない時期でもあるので、その点は要注意です。
9月「祭りと看板」
9月13日には「ムーブメントと宗教」を司る木星が順行に戻ります。うお座の人たちにとっては、何かと同じ考えや価値観をもつ仲間に恵まれやすくなってきたり、ある種のマスコット的存在として受け入れられたりするかも知れません。そこで大切になってくるのは、自分のためでもあると同時に、周りの人にも喜んでもらえるような、活動のちょうどいい落としどころを探っていくこと。自分の感情を押し殺すのは禁物ですが、だからといって自分勝手な打算や搾取にならないよう気を付けて。
10月「内輪からはみ出していく」
10月14~15日に「人生への情熱」を司る太陽が、「社会的立場の後戻りできない変容」を表す土星&冥王星と激しい角度(90度)を取ります。この土星&冥王星のコンビは2020年の大激変を象徴する配置でしたが、うお座にとっては、これまで内輪で小さくまとまろうとしていた言動や活動が、外へ社会へと垣根を超えて広がっていきやすいでしょう。あるいは、これまでバレていなかった自分の弱さや欠点などが周囲にダダ洩れになっていきやすいタイミングでもあるので、自分に厳しいことを言ってくれる人は特に大事にしていきたいところ。
11月「運命感覚の出来(しゅったい)」
11月1日には「未来を創る力」を司る天王星に対し、「自由意志」の太陽がちょうど真向いに来て、光を当てていきます。これは、古代人が困難に直面した際、神殿へ出向いて神託をもらうのに似ています。それは本や占いであったり、尊敬している人物や知人からの助言であってもいいでしょう。大切なのは、あなたが自分からお願いをして、それに応えてもらうというプロセスであり、そこで自分の運命を偶然性に開いていく一方で、必然性を宿していくこと。
12月「人間以外のロールモデル」
12月22日にはみずがめ座で社会性を司る両輪である木星と土星が重なり、約200年ぶりに時代を動かす基準が「土(モノの豊かさ)」から「風(コトの幅広さ)」へと本格的に移っていきます。これはうお座から数えて12番目の「秘密と空白」の位置で起きてきますから、あえて何をするべきかではなく、何をしないでいられるか、どこに力を入れていくかではなく、どこから力を抜いていくか、といったことが何事においても問われてくるはず。猫のような生活を一つの理想としてみる、人間以外のロールモデルを持つといったこともおススメです。
2020年下半期、うお座が指針にすべき偉人
「アンリ・ベルクソン」(1859~1941)
20世紀の哲学に大きな影響を与えた「生の哲学」を提唱し、ノーベル文学賞を受賞。ベルクソンが学生の頃はカント哲学が絶対的なものとして君臨し、学友たちは全員心酔していましたが、彼だけはまったく影響を受けず、後にその違和感を原動力に29歳で書き上げたのが『時間と自由』でした。
真に独創的な発想が求められていく今期のうお座にとっては、国際人としても名文家としても名高かったベルクソンはまさに指針にするべき偉人と言えるでしょう。