みずがめ座
勝つための戦略と戦術を
2020年はみずがめ座にとって、ここ5年ほどで作りあげてきた自分ブランドの確立とその“仕上げ”にあたる時期であり、上半期はいかに自分を他人の視点から客観視して、その観察結果を改めて自分のパフォーマンスにフィードバックしていくかが焦点となってしました。
それは下半期に入ってからも変わらずなのですが、下半期はそれにプラスして好機を捉えるしたたかさや戦略が求められるようになってくるでしょう。いわば、自分というブランドをただ確立するだけでなく、適切に維持し続け、PRしていく必要に駆られていくのだと言えます。
例えば、能の大成者である世阿弥が残した芸能指南書『風姿花伝』では、芸能に関する書であるにも関わらず、さかんに「勝負」という言葉が登場し、さらに「時分に恐るべし(時の運というものが大切だ)」ということが説かれています。
これはいくらよい演技をしても、きちんと評価されることが重要で、時の運が上昇しているときは特異な演目を派手に披露するのがよく、逆に時の運が下降しているときは手堅い演目を控え目に見せることを推奨している訳です。
いわば、先の「客観視」というのも、自分がその場の状況に即しているかだけでなく、運気の流れに合っているかということまで目を光らせていかなければならないということ。
もちろん、ここまでになってくると、とても単独ではカバーしきれません。その意味で、下半期は今までにも増して、いよいよ信頼できる相手に然るべきタイミングで協力してもらえるかどうかが大切になってくるように思います。
2020年下半期、各月の運勢
7月「ギフトとしての健忘」
7月2日に3月下旬から一時的にみずがめ座に入っていた「試練と再構築」の土星が、再びやぎ座に戻ります。これはみずがめ座にとっては、一歩進んで二歩下がるようでじれったく感じる展開かも知れませんが、まだ振り払いきれていないしがらみや執着にきちんとケジメをつけていくための最後のチャンスがやってきたのだとも言えるでしょう。この時期あなたは新たな活動への準備として、色々なことを「手放し」ていく。時には、“問題解決”しようとするのではなく、水に流してきっぱり忘れてしまうことも大切なのではないでしょうか。
8月「身体と生活の最適化」
8月8日に「愛情と心地よさ」を司る金星がかに座へ移り、18日にはおうし座の天王星と吉角をとっていきます。みずがめ座にとってこれは、主にプライベートや人生設計に関わることにおいて、ありきたりな人生図式やその不自由さから脱していくきっかけが与えられていくことを表しています。みずがめ座というサインは、ついつい自分の身体から意識が遊離して中空を漂いやすいところがあるのですが、ここでは身体の健康や、自分にとって心地よい生活スタイルとは何かということを改めて問うていくといいでしょう。
9月「地上への降下」
9月13日に「発展と拡大」を司る木星が順行に戻ります。木星が逆行していたこの約4カ月のあいだ、みずがめ座の人たちはどこかタロットの「星」のカードのように、何らかの予兆を惹きつけられたり、まだ妄想でしかない思いつきが現実へと着地しないまま育ってしまったりといった状況が起きていたのではないでしょうか。その意味では、ここからは「月」のカードのように、天から地上へと少しずつ一歩ずつ、予兆や妄想が現実化していく手応えを感じていきやすいはずです。
10月「心から信じられる価値とは何か」
10月14~15日にかけて「人生への情熱」を司る太陽が、「権威的なものの打破と刷新」を表す土星&冥王星と激しい角度(90度)を取っていきます。この土星と冥王星のコンビは2020年を象徴する配置でもありましたが、ここでようやく今期のあなたが“何”に対して勝たなければならないのか、ということが明確になってくるでしょう。その際、自分の虚栄心や面子などよりも、もっとずっと高いところに置かれ、守られるべきものとは一体なんだろうか、ということが問われてくるはず。あなたが尊敬する人の中に、それと同じものは見出せるでしょうか。しかと見極めるべし。
11月「囲い込みにはNOを」
11月1日には「未来を作り出す力」の天王星に対し、「自由意志」の太陽がちょうど180度を取って光を当てていきます。この天王星はみずがめ座にとって、「家やルーツ」を意味する4番目の位置関係にありますが、これはあなたが自分の人生から突き放し、分離させていくべきものとは何なのかということを明らかにしていきやすいでしょう。あなたがあなたの代で終わりにしたいことや習慣、考え方などが、いつもとは少し違った形から浮き彫りになっていくはずです。
12月「本気で自然体をやる」
12月22日には、いよいよみずがめ座で社会性を司る両輪である木星と土星が重なり、これは約200年ぶりに時代を動かす基準が「土(モノの豊かさ)」から「風(コトの幅広さ)」へと移る非常に重要な転換点でもあります。みずがめ座にとって、それが自分自身のサインである1番目の「自然体」の位置で起きていきますから、自分が自分らしくこの世界に在るという、いわば当たり前のことを当たり前に実現させていくことに、本気で取り組んでいくことになるのではないでしょうか。
2020年下半期、みずがめ座が指針にすべき偉人
「世阿弥」(1363~1443)
室町時代、当時は前衛芸術だった「能」を伝統芸能へと昇華させていった大成者である世阿弥は、優れた役者であると同時に、稀代の伝道者でもありました。
7歳から50歳までの時期ごとの稽古の方法や芸を見せる工夫に留まらず、能という芸能が生き残るための戦略と戦術まで示した『風姿花伝』は、彼がもっとも脂の乗っていた38歳の頃に書かれ、以後20年かけて書き直されて完成した、まさに人生をかけた書でした。
自分というブランドの確立と伝達というと聞こえはいいですが、それはある意味で冷徹な世渡りの力が問われるフェーズでもあります。そんなフェーズを迎えている今期のみずがめ座も、行間から伝わってくる世阿弥の「いくらいいものを作っても認められなければおしまい」という覚悟に触れてみるといいでしょう。