isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2024年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
野人の相
今週のおひつじ座は、問題解決者でなく問題提起者として「歴史に選ばれた」行動を取っていこうとするような星回り。
精神科医の中井久夫は統合失調症とは何かという問題を人類史的視野で検証した『分裂病と人類』(1982)の中で、統合失調症的な気質をもつ人について「分裂病親和者(S親和者)」という新しい概念を使って説明しようとしました。これは「まだ発病はしていないけれども、もし精神疾患を患うとしたら統合失調症になるだろう人」を指す言葉であり、その一番の特徴について中井は次のように表現していました。
「もっとも遠くもっともかすかな兆候をもっとも強烈に感じ、あたかもその事態が現前するがごとく恐怖し憧憬する」
あなたもまた、最近の自分自身の言動のなかに少なからず「S親和者」的な気質や構えの現われを見て取っていくことができるはず。
今週のおうし座の運勢
失われた質感を求めて
今週のおうし座は、心を軽くするための棚卸しや清算を試みていこうとするような星回り。
『また来ると思つて秋の蝶の来ず』(加藤かな文)という句のごとし。
おおかた、きっとまた見かけるだろうだから、その時にじっくりのその姿を目に焼き付けておこうと、となんとなく考えていたのでしょう。しかし、待てど暮らせど「その時」は二度とやってこなかった。「秋の蝶」は春や夏の蝶にくらべれば、弱弱しくどこかさびしげですが、だからこそ作者の心に妙に尾を引いていたのかも知れません。
あなたもまた、作者のように自然と心のままに感じたことを口に出してみる機会を設けてみるといいでしょう。
今週のふたご座の運勢
二つの世界のはざまで
今週のふたご座は、謎が謎のままあり続けることを素直に受け入れていこうとするような星回り。
一連のムーミン・シリーズの最終作である『ムーミン谷の十一月』では、作者のトーベ・ヤンソンの分身であり、ムーミントロールの分身であったホムサ・トフトというキャラクターが登場します。過去作でムーミントロールがスナフキンに恋い焦がれ続けたのに似て、やはりホムサもまたスナフキンに憧れています。
「どうして自分は彼のようになれないのか」という残念な気持ちの表明は、作者トーベの本心でもあったのでしょう。
あなたもまた、もし少しでも謎の感覚を持ち得ている関わりがあるのなら、そのことのありがたみを実感していきやすいはずです。
今週のかに座の運勢
理解など捨てていけ
今週のかに座は、低俗的であることを辞さず、むしろよりいっそう「低俗」に分け入っていこうとするような星回り。
『梵妻を恋ふ乞食あり烏瓜』(飯田蛇笏)という句のごとし。「梵妻(ぼんさい)」とは僧侶の隠し妻のことで、それをよく寺の境内にも入ってきたり、寺がある辺り一帯を徘徊しているような一人の乞食が恋い慕っているというのです。
これだけ言われてしまうと、どこか生々しい想像をかき立てられて、どうしても不倫だとか醜悪といった言葉が浮かんできてしまいますが、掲句には一概にそうしたレッテルでは片づけられないようなあわれさが漂っているように思います。
あなたもまた、乞食のように恋い慕うのであれ、梵妻の側に回るのであれ、自身の中にもよく分からない情念があることを改めて実感していきやすいでしょう。
今週のしし座の運勢
平常心を極める
今週のしし座は、自分を支えてくれているアタラクシア的な基準を再確認していくような星回り。
エピキュリアン、つまり古代ギリシャのエピクロスの徒と言えば、人間の幸福とはつまるところ快の充足にあるとする“快楽主義者”を指して言われる言葉であり、資本主義下ではそれはいかに自由に使えるお金をたくさん持ち、それを飲食や美容、遊興などに投じることができるかということとイコールで結びつけられがちです。
ただ、実際にエピクロスが説いていたのは、「心の平静な状態(アタラクシア)」を善とする立場でした(出隆・岩崎允胤訳『エピクロス: 教説と手紙』)。
あなたが経験したここ数カ月の災難や珍事を通じて、どれだけ自分の中で“確信”が深まったのかを改めて確認していくにはもってこいのタイミングとなっていくはず。
今週のおとめ座の運勢
転!
今週のおとめ座は、不測の事態や想定外の展開をこそ楽しんでいこうとするような星回り。
『案内の宿に長居や菌狩(きのこがり)』(高浜虚子)という句のごとし。掲句では案内人のいる宿に到着し、ひと休みしてからキノコ狩りへと向かうはずが、なかなか重い腰をあげられずにいるのだといいます。
不測の事態や予定外の展開が起きているわけですが、むしろ、キノコ狩りという困難なトライアルに取り組もうとしている現状や、熟練のキノコ狩りの案内人というどう考えても一般的な世間とは距離があるような変わり者との出会いそのものを受け入れ、楽しんでいるような節さえあります。
あなたもまた、一見すると厄介な縁やしがらみであっても不思議と受け入れてしまっている自分自身に気が付いていくことになるかも知れません。
今週のてんびん座の運勢
吸い寄せられるように
今週のてんびん座は、自分の中の危険を嫌う性質と、知りたいという強い欲求とを、喧嘩させることなく両立させていこうとするような星回り。
E・L・カニグズバーグによる児童文学作品の傑作『クローディアの秘密』の主人公クローディアは、アメリカに住むごく普通の12歳の女の子であり、下に弟がいて、長女だからといって色々と無理を押し付けられることに不満を抱いていました。
彼女はニューヨークのメトロポリタン美術館へと家出するため、同伴者として一番お金を貯めている弟を選んでその気にさせ、「いろいろなものをなしですませる練習」までして、実行します。そこでの天使の像との出会いは、彼女の家出の目的を像の秘密を知ることを通して「ちがったあたしになって帰りたい」というものに変えていったのです。
あなたもまた、誰も知らないような秘密をあえて知ろうとすることの中に、決して危険ではないけれど、自分をこれまでとは違ったものにしてくれる活路を見出していくことになるかも知れません。
今週のさそり座の運勢
モブかゲームチェンジャーか
今週のさそり座は、伏流水のような交流のありがたみを実感していくような星回り。
『蓑虫の音(ね)を聞きに来よ艸(くさ)の庵(いお)』(松尾芭蕉)という句のごとし。
聞こえないはずの蓑虫の鳴き声をネタに草庵へ誘うというのは、酔狂なまでの遊び心の現われであると同時に、鬼の子であり、捨てられた身である蓑虫に自分たちの理想を重ねていたところ、世俗的なものから自由になった「風狂」の境地を仲間たちと共に楽しんでいたのであろう作者の日常を彷彿とさせてくれます。
あなたもまた、弱くて、ささやかな営みや、偶然的な付き合いをほど大切にしていきたいところです。
今週のいて座の運勢
群像劇化
今週のいて座は、誰に向けるでもなく「全てがさ中なのだから滑稽などありえない」と言い放っていくような星回り。
優れた文学作品を読む楽しみは、素晴らしく立派で非の打ち所のない人物を知ることより、むしろただ生きているだけで、滑稽さや失敗をどうしようもなく抱え込んでしまうものだということを痛感することのうちにあるように思います。
もし今あなたが人に笑われないように、恥をかかないように、可能な限り世の中の「普通」から外れないように生きているのなら、今こそこうしたセリフを声に出して読んでみるといいかも知れません。
あなたもまた、理想ばかり追うのでも、かと言って現実から目を逸らすのでもなく、自分の無様さや格好悪さをまなざしつつも「たはは」と笑って許してくれるような視点をこそ取り入れていきたいところです。
今週のやぎ座の運勢
甘美なる孤独
今週のやぎ座は、闇と静けさのなかでもう一つの目が開いていくような星回り。
『茶を飲めば目鏡(めがね)はづるる夜さぶかな』(夏目成美)という句のごとし。
目の前の小さい文字に集中していたところから、一転して視界が広がったせいもあって、こんな時はいつも以上に闇と静けさがどこまでも広がっているように感じられ、この世界にひとり取り残されてしまったような感覚を抱いてしまうもの。
あなたもまた、そうした深い夜の闇の底で、みずからの心を落ち着かせてくれるような「熱」をいつも以上に敏感に感じとっていくことになるはず。
今週のみずがめ座の運勢
沈黙と歓呼のあいだ
今週のみずがめ座は、ここぞという場面でこそ「何を言うか」より「何を言わないか」に集中していくような星回り。
「エウ・フェーミアー」という言葉は、古代ギリシャ語で「よき前兆を告げること」「吉兆の告知」といった意味で使われる一方で、「畏れ慎んで黙ること」「沈黙」の意味を持っていました。
例えば、アイスキュロスの悲劇『オレステイア』の最終部「恵みの女神たち」の大団円の場面では、「静粛にされよ」と訳された箇所が、先の動詞「エウ・フェーミアー」の命令形であり、<畏れ慎んで沈黙せよ>とも、<神聖な沈黙を守れ>とも訳せるのですが、さらにこの言葉には<吉兆に応えて歓呼する>という意味も持ち、恐らくこれら3つは挙げた順に意味を変化させていくのでしょう。
あなたもまた、また肝心な場面でこそ沈黙を守れるかどうかが問われていくことになるでしょう。
今週のうお座の運勢
自然児の感覚
今週のうお座は、生きとし生けるものへの素直な愛情を発露させていこうとするような星回り。
『つぶら目の瞠れるごとき栗届く』(嶋崎茂子)という句のごとし。
粒ぞろいの栗の輝きを、幼い子供たちが目をパァっと開いて何かに目を輝かせているときの様子になぞらえている訳ですが、これは言葉遊びでそう書いたのではなく、作者にとっては目の前の栗の実がまるで大切な我が子や孫のように感じられたのかもしれません。
あなたもまた、頭で考えたことではなく、もっと生きている実感の根本のところでの喜びを誰か何かと分かち合っていきたいところです。
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