isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2023年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
つまづいた先にそれはある
今週のおひつじ座は、心眼を得ていくような星回り。
シェイクスピアの『リア王』で、弟にあたる庶子エドマンドの悪だくみにより、反逆者に仕立てられ追放されたグロスター伯爵の息子エドガー。両眼をくりぬかれた盲目のグロスターは、すぐ目の前にエドガーがいるのに気付かずに「生き永らえていつかお前の体に触れることができたなら、そのとき、おれは言うだろう、父はめをふたたび取り戻した」と言うのです。
残酷な逆境に置かれるようになって初めて、平穏な生活の最中では決して見えなかったことが見えるようになっていく。これは今のあなたにとって、大事な指針となっていくはず。
あなたもまた、特に大事な判断や物事の真価をはかる際には、これまでと同じように今後も当たり前にあると思ってしまっているものはないか、いったん「目をつむって」みるよう試してみるといいでしょう。
今週のおうし座の運勢
触れるべきもの
今週のおうし座は、とらえ損ねている何かの存在にハッと気付いていくような星回り。
『ばつた見てばつたのゐない地面見て』(鈴木牛後)という句のごとし。“それ”はスマホを構えて写真におさめようとするや、どこかへ飛んでいってしまう。だから大抵は写っているのは地面ばかり。
つまり、「地面」とは誰かが確かにそこにいたというその痕跡であり、とらえ損ねた「ばった」とは現在進行形の、なまなましい他者のリアル。そして、そうしたリアルと向き合っているところの自分自身とも言える。だとすれば、私たちは対象や相手の“情報”を見ることに慣れ過ぎて、じかに相手そのものと触れあうことやその得難いよろこびを、すっかり忘れてしまっているのかも知れません。
あなたもまた、何か誰かと直接ふれあっていく体験を追求していくべし。
今週のふたご座の運勢
われらは不安定な惑星なり
今週のふたご座は、人生という長い長い物語に新たな句読点を打っていこうとするような星回り。
今夏に亡くなったミラン・クンデラは、映画化もされた小説『存在の耐えられない軽さ』(1984)で有名ですが、著作の中に『七十三語』(1986)という味わい深い私家版の用語集もあり、中でも「未熟」の項に書き添えられた次の一文は非常に印象的です。
「老人は自分の老齢に無知な子供であり、この意味で人間の世界は未熟の惑星なのである。」
あなたもまた、うすうす感じつつあった自分や近しい人間の未熟さを直視していくことで、また一つ過去から解き放たれていくことでしょう。
今週のかに座の運勢
柚子はねむり、キノコは踊る
今週のかに座は、ただ何かを消費するだけの“浅い遊び”をグーっと深めていこうとするような星回り。
『柚子は黄に席は自由に映画館』(中山奈々)という句のごとし。
掲句は民族的・集合的な記憶に通じる自然の描写に、日常に与えられた何気ない「自由」を並列させることで、「映画館」という場に単なる日常の延長線上の娯楽施設以上の、奥行きをもたらすことに成功しています。
あなたもまた、「羽根を伸ばす」とか「羽目を外す」といったことに全力で取り組んでみるといいでしょう。
今週のしし座の運勢
口先だけの人間にならないために
今週のしし座は、「自己の根本」としての丹田にひたすら意識を集中させていこうとするような星回り。
簡単には答えの見つからないような難問や深い謎を突きつけられたときほど、その人の真価が問われると言いますが、それは何を問われているのでしょうか。
ひとつはっきりしているのは、一筋縄ではいかない困難や謎というのは、私たちの想像以上に心身に多大な負荷をかけるものであり、だからこそそういう困難や謎に取り組むことが当たり前の世界である学問や宗教の世界では、伝統的に心身をケアするための教えもまた連綿と受け継がれてきました。
あなたもまた、改めて現世的な身体へのまなざしをきちんと深めていくことをテーマにしつつ、臨んでいきたいところです。
今週のおとめ座の運勢
低め視点から流れるように
今週のおとめ座は、以前とはどこかで違ってきている自分自身を再発見していくような星回り。
『去年より又さびしひぞ秋の暮』(与謝蕪村)という句のごとし。掲句は大胆不敵な妙手とも、作者がかました渾身のボケとも取れる一句です。
しかし、同じ季節になると毎年感じているはずのさびしさであっても、それがふと去年にも増してグッと深くなっていることに気付いたのは、やはり相応の年齢を重ねたためでしょう。
あなたもまた、自然と言葉数が増えたり、自分を確かめるような言動を取っていきやすいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
戯れせんとや
今週のてんびん座は、自分を何度も生かしてくれるような味わいを浮彫りにしていくような星回り。
文芸評論家・篠田一士による『世界文学「食」紀行』は、著者が選び抜いた古今東西の文学作品に描かれた美味珍味を紹介しつつ、口腹の愉しみについてこれでもかと謳っているのですが、その冒頭には「舌代」と題されたまえがきがあります。
それを書いた著者が日本文学史上最高の巨漢であったこともあいまって、まさに読者ごと異(胃)次元へと運ばんとするような書きぶりです。しかし、もちろん贅をつくした美食ばかりが“パン”にあらず。
あなたもまた、そんな自分なりの理想の「恍惚境」を改めて思い描いてみるべし。
今週のさそり座の運勢
悲哀をぶつける
今週のさそり座は、死にゆく流れと生まれくる流れが同時に流れていくような星回り。
『死なば世に忘らるる身か月の秋』(小山良一)という句のごとし。戦地で病死した或る一兵卒の作。生きていれば、親を見送り、妻をめとり、子を得て、自分の家をなしたかもしれない、けれどそうしたことをすべて為さず、わずかな遺句のほかは何一つ残さず逝ってしまったのだという。
古代ギリシャの格言に「芸術は長し人生は短し」というものがありますが、その長い芸術を残した者さえも、「死なば世に忘らるる身」の悲哀をどうすることもできず、悠久の時の流れの末にやがては無名へと帰していくのでしょう。
あなたの中にも、そんな忘らるる者と忘られぬ者との二つの哀歌がとうとうと心中を流れていくはず。
今週のいて座の運勢
結び目としてのわたし
今週のいて座は、個人の一生を超えたスケールで存在する働きかけにアクセスしていくような星回り。
寛元の初め(1243)に畿内の癩者(らいしゃ)、つまりハンセン病患者1万人以上を集めて食べ物を施行したとされる忍性には、とても印象的なエピソードが残されています。身動きできず、物乞いにも出かけられない癩者を背負って坂と市中をくる日もくる日も往復したのだと言うのです。「一瘡」を顔に留めることを誓って去っていったその癩者は、果たして蘇ったのか……?蘇ったのだ。
こうした伝承を、眉唾ものと決めこんで一掃するのは簡単でしょう。けれど、他の非人(被差別民)たちがこの話をまことしやかに噂しただろうこと、そこに何か信じられるものを見出した者がいただろうことは、確かなように思えるのです。
あなたもまた、そんな紙一重のところで信じられるような奇跡や足跡のなかに、自身の歩みを後押ししてくれる超自然的なはからいを感じ取っていくことができるかも知れません。
今週のやぎ座の運勢
主戦場を移す
今週のやぎ座は、ある系の相(phase)が別の相へと変わっていくような星回り。
『手に何もなく秋晴を歩くこと』(富安風生)という句のごとし。
いかに表面の起伏に富んでいるか、という軸が若さと関係しているのだとすれば、内面や奥行きの容量がどれだけあるか、という軸は老いと関係しているのではないか。そして、掲句は典型的な後者の賜物であり、こういう句に触れると読者の側も自身の内面の容量が問われていく。
あなたもまた、ぽーっんとこれまでとは異なる次元へと連れていかれるようなところが出てきそうです。
今週のみずがめ座の運勢
しぼんだ脳をひらいていく
今週のみずがめ座は、身近なところからごく弱いコミュニケーションを回復させていこうとするような星回り。
「隣りの家にお醤油を借りにいくことがもっと気軽にできるような社会」。これは、元『WIRED』日本語版編集長の若林恵の言葉で、その対極にイメージされているのは地域活性とか地域振興の現場で重くのしかかる「右肩上がり幻想」でした。
若林は、地域の人たちがお互いにコミュニケーションできて、助け合えるような場をつくっていくことが大事なのだという話へと一応は落着させていくのですが、その際の最大のボトルネックが「右肩上がり幻想」であり、これを取り除くことが最初に取り組まなければならないタスクなのだと言います。
あなたもまた、地味だったり小さいながらも確実に自分のコミットしている共同体を外へと開いていくことができるかが問われていきそうです。
今週のうお座の運勢
よい気の巡る場所へ
今週のうお座は、これまで遠くに感じていた存在がグッと身近に感じられていくような星回り。
『駒ヶ岳秋の総体透けてみゆ』(飯田龍太)という句のごとし。掲句において作者は自分を取り巻く世界を一望しつつ、特に遠くからただその威容だけをなんとなく感じ取っていた自身にとっての神的存在を、不意に近しく感じたのではないでしょうか。
末尾の「みゆ(見ゆ)」は、おのずから見えてしまうこと、あるいは「見るという動作が、意志によらずに、自然の成行きとして成立する」(『岩波古語辞典』)ことを指すのだという。そうした環境に身を置くことで、何ごとであれ小賢しく判断しようとする我が少なからず消えていったことが大きかったのでしょう。
あなたもまた、おのずと視界が遠くはるかな方へと開けていくはず。
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