isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2023年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
断絶をこえて
今週のおひつじ座は、時を超え場所を超えて何かを継いでいこうとするような星回り。
『蜩(ひぐらし)のなき代わりしはるかかな』(中村草田男)という句のごとし。
ひとつが鳴き終わると、別のひとつが鳴きだすのは偶然ではないはず。そうして、「はるか」な距離を隔てたひぐらし同士が交感に打たれつつ、夏=いのちの脈動を密かに支え、初秋の日暮れの光がそれをやわらかに包んでいる。
あなたもまた、自分が何に呼応しようとしている存在なのか、改めて問うていくべし。
今週のおうし座の運勢
弱く見えて、案外しぶとい
今週のおうし座は、否定しようとしても否定しきれないおのれの“実存”を、徹底的に受け入れていこうとするような星回り。
太宰治の『人間失格』には、主人公・葉蔵の東京での知り合いとして堀木という男が登場してきます。この男はことあるごとに、主人公にそんなことをしていると世間が許さないぜ、などと囁いては葉蔵を脅かし、自分は間違っているのかも知れないという思いを巧妙に膨らませ続けるのです。
しかし、葉蔵は最後にいわば「世間」の代理人として、“正しさ”で葉蔵を手籠めにし、自分の頭で物事を判断する力を奪おうとしている訳ですが、葉蔵はむしろ世間的正しさへと着地しないもののうちに留まろうと、堀木を拒絶することで、みずからの実存を取り返そうとしたのだと言えます。
あなたも、自身の不出来や未熟を“正しさ”で裁かないでいられるだけの太々しさを取り戻していくべし。
今週のふたご座の運勢
誠実であるより覚醒してあれ
今週のふたご座は、熟慮することと求愛することに真剣に取り組んでいこうとするような星回り。
『彼方の男女虫の言葉を交わしおり』(原子公平)という句のごとし。秋に虫たちが鳴くのは天敵に狙われることなく、思いきりこれと思った相手に求愛できるからだそうですが、その意味では、虫たちは熟慮することと求愛することとをきわめて自然な形で融合させつつ、当たり前のように実践しているのだとも言えます。
翻って、人間の方は、誰かに真剣に求愛する気概も、その時と場合について熟慮する機会もめっきり失ってしまっているのではないでしょうか。
あなたもまた、さながら秋の虫たちになったつもりで声をあげてみてはいかがでしょうか。
今週のかに座の運勢
エッジに立つ
今週のかに座は、よりディープな夢を見るために、日常生活のなかに際どい行事を取り入れていこうとするような星回り。
人類学者のギアーツは、バリ島のコック・ファイト(闘鶏)について分析した論文の中で、普段あからさまな衝突を嫌うバリ人たちが、激しい攻撃によって互いに血を流しあう鶏の闘いに異様なまでの熱狂でもって、「法を犯してまでも」すすんで巻き込まれていくのだといい、その意味で、かつては闘鶏はバリ島における重要な社会的行事だったのだと言います。
なぜ人びとは、象徴的なはく奪ゲームに深く熱中するのか。この点についてギアーツは、彼らは地位の急転に伴う感情の複雑で激しいうねりを通して、彼ら自身の物語を解釈しようとしているのであり、闘鶏はバリ人にとって「一種の感情教育」のための装置になっているのだと述べています(『文化の解釈学Ⅱ』)。
あなたもまた、辛苦も賭けるものもない「浅い遊び」ではなく、自身の存在の根拠を賭けざるを得ないような遊びにこそ参加していくべし。
今週のしし座の運勢
ちょ待てよ!
今週のしし座は、あっさり過去を消し去ろうとする世間の流れに駄々をこねていくような星回りり。
『いわし雲ほとけ拝みしばかりにて』(河野友人)という句のごとし。故人への思いをどこかで引きずりつつ、緊張をいだいて訪れた葬儀場を後にしようとした時、ふと鰯雲を仰いでおもわず生死の不思議が心をよぎった、というのが句の大意でしょう。
ただ、「ばかりにて」というかすかな戸惑いを表した下五には、はやくも秋の訪れを告げ澄みはじめつつある天に対して、どこか異議申し立てをしたいような複雑な気持ちの揺らぎのようなものがうかがえます。
あなたは、そういう大人の振る舞いに抗って、なんとなく尾を引く“感じ”や、割り切れない思いの方をこそ、大事にしていくべし。
今週のおとめ座の運勢
どこへ逃げるか
今週のおとめ座は、この世とあの世の境にあって技をふるっていこうとするような星回り。
日本全国の妖怪をほとんど網羅したかのような辞典を開いてめくっていると、身の周りのあらゆるモノが妖怪化されてきた中で、唯一といってもいいくらい「箱」ないし「つづら」の妖怪が見当たらないことに気付きます(沖縄のガンマジムンのみ)。
これはなぜか。例えば、評論家の倉本四郎は『鬼の宇宙誌』のなかで「箱は物怪をこの世に放つ装置、母胎」であって、鬼なるものが中国・朝鮮から渡来した金属民や工人などの技術者集団と深く関連していたのではないかと述べています。
あなたもまた、できるだけ権力の力が及ばない領域(=異界)へと足を延ばしてみるといいでしょう。
今週のてんびん座の運勢
現実をいかに歩くか
今週のてんびん座は、現実に振り回されないだけの力を身につけていこうとするような星回り。
『吹きおこる秋風鶴をあゆましむ』(石田波郷)という句のごとし。掲句は動物園で作られたのだそうです。おそらく、俳句の題材を得るために行ったのでしょう。作者は、何でもないようなことを二つ組み合わせることで、風に吹かれて歩を運ぶ弦のやわらかな“感じ”をものにすることができた。言わば、作者が磨き続けてきた感受性と技術力の勝利です。
では、何に対しての勝利なのか。それは、現実のつまらなさや、何か特別なことなど期待通りには起きないというつれなさと言っていいかも知れません。
あなたもまた、退屈な現実に精神まで囲い込まれてしまわぬよう、せいぜいあがいていくべし。
今週のさそり座の運勢
光をもとめて
今週のさそり座は、いっそ植物を見習って生きものとしての本能を働かせていこうとするような星回り。
光をとりこみ、利用し、その質量の微妙な変化を識別する植物の能力は、たしかに紛れもなく非常に高い知能がなせる業であり、植物のこうした知能は視覚にも喩えられる。しかし、彼らは四季の移り変わりに応じて視覚の使い方も変化させていくそうで、冬のあいだは「成長周期を遅」くし、「目を閉じ」眠りつづける。春になるとまた正常に機能しはじめ、芽を出し、ふたたび葉をつけ「ふたたび目を開ける」」のだそうです。
植物がそれほどまで物質(からだ)を適応させて感受しようとしている光を、私たち人間は普段どこまで意識的に求めているでしょうか。
あなたもまた、できるだけ彼ら植物を見習って、光を求めることを日々の暮らしの中で意識してみるといいでしょう。
今週のいて座の運勢
多様性を耕す
今週のいて座は、まず自分自身にこそ多様性を許していこうとするような星回り。
『秋風や模様のちがふ皿二つ』(原石鼎)という句のごとし。
名句と呼ばれる作品は作者の個人的事情を離れて、読者それぞれに寄り添ってくれるもの。その意味で、掲句は人生のさまざまな場面において、さまざまな「ふたつの皿」を思い描かせてくれるはずであり、そうした偶然が引き合わせてくれる人生の妙こそが、秋風によってここで深められている訳です。
あなたもまた、時と場合によって、てんでばらばらな自分を打ち出したり、演じたりしてみるくらいでちょうどいいでしょう。
今週のやぎ座の運勢
隷従か抵抗か
今週のやぎ座は、「病める文化の症候」と向きあって、なんとか鎮めていこうとするような星回り。
精神医学者で文化人類学者のベイトソンの『精神と自然-生きた世界の認識論-』には、宗教的な堕落という話題をめぐって為された父と娘の対話形式で構成された「それで?」という一節があります。
ここのところ日本人は騙されやすくなったと感じる機会が増えてきましたが、ベイトソン風に言えば、それは「娯楽だとか政治だとか魔術だとか“パワー”だとか」に宗教的なものを堕落させようとする傾向が集団的に強まっているということでしょう。
あなたは、そうした堕落を抗って、ベイトソンのいうような、もっと「深い宗教的要請」(例えば「醜を含めた美」の追求など)に従っていくべし。
今週のみずがめ座の運勢
空気感づくり
今週のみずがめ座は、たまたま居合わせた誰かと空気感を共有していくような星回り。
『台風をみんなで待つている感じ』(中田美子)という句のごとし。掲句の「みんな」というのが誰を指すのか分かりませんが、ここで大事なのは「台風をみんなで待っている」のではなく「待っている感じ」であるということでしょう。
つまり、実際にはただ事ならぬ自体であれば台風でなくてもいい訳で、戦争であってもいいし、待ち人がやって来ることであってもいい。ただ、こちらの手に負えないようなものと向きあう時の、みなで息をのんでシーンとなってしまった一瞬の空気感を詠んでいる訳です。
あなたもまた、そうした熱い一体感へとふとした拍子に巻き込まれていきやすいかも知れません。
今週のうお座の運勢
緊張を和らげる者
今週のうお座は、ただただ空気清浄機のように周囲の空気をよくしていこうとするような星回り。
香港の魔窟チョンキンマンションで、「ボス」として地下経済をとりしきるタンザニア人のカラマ。自営業者たちのネットワークを取り仕切っているカラマは、さしずめ権威の象徴として「王」のような存在ではなくて、みんなと一緒に暮らしながら、みんなが抱える問題を解決していこうとする「酋長」的な存在なのでしょう。
酋長は神秘的な「シャーマン」とも違って、あくまで規則や良識に従い、社会に平和をもたらそうとしていかねばならず、それこそが「政治」ということの根源でもあるのです。
あなたもまた、カマラのような大らかでいて誇り高いひとりの「酋長」として、どうしたら周囲の空気をゆるやかなものにしていけるかということが問われていくでしょう。
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