isutaでは今週も、SUGARさんが贈る週間占いを配信。
2023年下半期の占いも公開しているので、ぜひ併せてチェックしてくださいね♡
今週のおひつじ座の運勢
亀裂に足をとめる
今週のおひつじ座は、これまでの主義主張や確固としていた意図がいったんリセットされていくかのような星回り。
『夏の昼また沈黙につきあたる』(柿本多映)という句のごとし。やけつくような夏の日中は、日差しが真上から射すため影がなくなり、それに呼応するかのように人の気配も消えていくため、どこかひっそりとしている。
しかしなぜ、沈黙に支配された白昼の街というのは、こうも奇妙に感じられるのか。それは、生きているはずなのにまるで死んでいるようだから。
あなたもまた、そんな時間以前の領域や、奇妙な「沈黙」に中にひっそりとたたずんでいくべし。
今週のおうし座の運勢
漂泊の心性をあたためる
今週のおうし座は、これまであえて伏せてきたことや避けてきたものに、改めて向きあっていこうとするような星回り。
1991年3月3日、熱海の防波堤で釣りをしていた演歌歌手で当時郷ひろみの物真似芸でもお茶の間の人気者だった若人あきらが、行方不明になるという事件が起きました。
おそらく、彼にとって失踪事件はそれなりの必要性があって起きたのでしょう。もしかしたら、物真似芸人という立場に、周囲が思っていた以上の屈託を抱えていたのかも知れませんし、その他の理由もあいまって自分の役割を見失い、いわゆる中年の危機の陥っていたのかも知れません(事件当時の年齢は40歳)。
あなたもまた、どこかで抱えてしまっていた屈託をいかに顕在化させていけるかがテーマとなっていくでしょう。
今週のふたご座の運勢
感傷をこえて
今週のふたご座は、あまりに人間的な枠組みから距離を取って、“あっけらかん”と過ごしていくような星回り。
『泥鰌浮いて鯰も居るというて沈む』(永田耕衣)という句のごとし。
作者の句には老いや死など、普遍的で重たいテーマを念頭に詠まれたものが多いのですが、掲句の場合、命ある者らの命運を人間社会を超越した「外なるまなざし」から眺め、独特の軽みをまじえて取り扱うことで、ある種の「神話」を産み出しているのだと言えるかもしれません。
あなたもまた、社会の内部にではなく、その外部へといかに自己を開いていけるかがテーマとなっていきそうです。
今週のかに座の運勢
断絶から連続へ
今週のかに座は、みずからの存在のちっぽけさや、その一生の小ささとは裏腹な、何らかの巨大なものの運動の一部に取り込まれていくような星回り。
民俗学者の南方熊楠(みなかたくまぐす)は、自身の研究対象として深く魅了された粘菌の生態のなかに、生命の根源とも言うべき運動性を見出していった人物でもありました。
熊楠はそんな粘菌のきわめてミクロな生態のなかに、この宇宙のリアルな現実があますことなく表現されていることを確信し、そのメカニズムについて「常に錯雑し、生死あり。また生死の長短の時間があればこそ、世間が立ちゆくなり」とも述べました(『南方熊楠書翰―高山寺蔵 土宜法龍宛1893-1922』)。
あなたもまた、構造体フェーズにあるにせよ、変形菌フェーズにあるにせよ、そうした循環のプロセスのなかに自分もあるのだという実感が不思議と湧いてくるかも知れません。
今週のしし座の運勢
底のぬけた柄杓
今週のしし座は、自分の意志で人生を切り開いてなどいかないぞ、と力を抜いていくような星回り。
『惨として日をとどめたる大夏木』(高浜虚子)という句のごとし。昭和22年夏の作。作者が疎開先である小諸から離れたのがこの年の秋ですから、この頃はまだ都市部の悲惨な状況は見ていなかったはず。
そこらの普通の夏木を見て、抱いた感慨をそのまま詠んだのかも知れません。つまり、ごく普通の樹の頭上はるかに輝く夏の太陽をふっと見上げて、「惨」という文字を思い浮かべたのです。
あなたもまた、頑張り過ぎや気負い過ぎにはご注意を。
今週のおとめ座の運勢
狂暴で純粋な希求をなだめて
今週のおとめ座は、「僕たちの短い永遠」が終わっても、それでも人生は続いていくのだと思い直していくような星回り。
岡崎京子の『pink』はOL、夜は風俗嬢をしている若い女の子がワニを飼う話だ。彼女は「オマエは私のスリルとサスペンスなんだから」と言いながらワニを大層可愛がり、その餌代を稼ぐために身体を売っている。
彼女が普通の人と少し違っていたのは、その欲望が簡単に懐柔できるようなかわいらしいものなどではなく、どこか得体が知れず、常識だとか“普通のしあわせ”といった枠を大きく突き抜けたものだったということ。
あなたもまた、後ろ向きな孤独に逃げ込む代わりに、前向きな不安と共にみずからの望みをきちんと声に出し、口にしていくべし。
今週のてんびん座の運勢
闇路に闇路を踏み添えて
今週のてんびん座は、現実から消し去ったはずの真実が改めて浮上してくるような星回り。
『或る闇は蟲の形をして哭けり』(河原枇杷男)という句のごとし。闇の奥で虫が鳴いているのでは、ない。虫をかたどり、ひとつの生命として息づいている闇そのものが哭いているのだという。これは一種の異様な幻視幻聴体験を詠んだ一句と言えます。
現実の底に沈んでいたそれらの真実が、不意に闇にうごめく黒々とした蟲の姿をまとって、こちらに迫ってきた訳ですから、さぞや生きた心地がしなかったはず。
あなたもまた、今まであえて見ないふりや気付かないふりをしてきた真実が、そんな風に迫ってくることもあるかも知れません。
今週のさそり座の運勢
ふれあいの中でこそ培われるもの
今週のさそり座は、中間的かつ生成的なコミュニケーションを取り戻していこうとするような星回り。
コロナ禍以降、夫婦間の家事負担などが原因で離婚相談が増えているという話をよく見聞きします。大抵は共働きの家で、夫も家にいる時間が増えたにも関わらず、相変わらず妻ばかりが家事を負担しているというケースが目立つ、といった場合。
一方が過剰に受動的であるということは、もう一方が過剰に能動的であるということで、その方が楽だからということであって、これは言い換えればその中間的なコミュニケーションが成立しにくい状況になっているということなのではないでしょうか。
あなたもまた、難しい状況でこそ、互いのする/されるが反転していくような「ふれあい」をこそ大切にしていきたいところです。
今週のいて座の運勢
純粋なる贈与
今週のいて座は、自分が何に対して「無償の精神」を発揮しているかを再確認していくような星回り。
『花火師の闇にまぎれてより潔し』(源鬼彦)という句のごとし。華々しく夜空に咲き乱れる花火。しかし、その花火を打ち上げる花火師は、危険と隣り合わせに闇の中で汗水をたらし、誰にも見向きもされず地味な労働に明け暮れる。その姿に自分自身を重ねたのでしょう。
それは精神的にも肉体的にも大変なことだったはずですが、それを支えていたのは「今の文学の世界は無償の精神がなければ、発展どころか現状維持さえもできない」という作者の思いだったといいます。
あなたもまた、自身の場合は情熱がどのような形をとっているのか改めて認識していくことになりそうです。
今週のやぎ座の運勢
かんなの喩え
今週のやぎ座は、結果的に自分が年季を入れてしまっているものについて、思い当たっていくような星回り。
かつて批評家の小林秀雄と小説家の永井龍男の「芸について」という対談のなかで、大工とかんなの関係性をめぐって、今のサラリーマン社会では大工における「かんなとのつきあい」のような長いつきあいがなくなってしまったね、というようなことを言っていました(『直観を磨くもの』)。
いわく、サラリーマンの世界では、頭で計算して、計画を立てて、そのとおりやれば、それですむ。ところがクラフトマン(職人)の世界では、いくら頭で考えたり口先で何かを言っていても、かんなの方がウンと言わなければ、事ははこばない。そういうものを動かすには、やはり年季を入れていかないといけないのだ、と。
あなたもまた、自分にとっての「かんな」とは何なのだろうかと改めて胸に問うてみるといいかも知れません。
今週のみずがめ座の運勢
旅路を振り返る
今週のみずがめ座は、みずからの生き様の痕跡をじっと強い視線で見つめていくような星回り。
『足のうら洗へば白くなる』(尾崎放哉)という句のごとし。
普通の人なら、白髪を見つけてみずからの老いにショックを受ける中年初期の通過儀礼のように、少なからず寂しさを感じてしまい、どこか悲鳴のような句になってしまうところですが、掲句はそれをあくまで一つの事象として、突き放して見つめているような精神の静けさが感じられます。
あなたもまた、現在地点にいたるまでに自分がこれまで何をどう繰り返してきたのかを再確認していくことになるかも知れません。
今週のうお座の運勢
ふらふらとドスンのはざまで
今週のうお座は、黙ってドスンと自分自身に坐りこんでいこうとするような星回り。
自分自身と仲直りするために、人はしばしば旅に出ます。そしてそういう旅に、ほんらい目的地は要りません。自分自身が目的地だからです。
詩人としての池澤夏樹がナイルやギリシャへの長い旅から帰ってきた後に上梓した詩集『最も長い河に関する省察』もまた、そうした旅の記録であると同時に、自分自身の魂のあり様をめぐる省察にもなっています。
あなたもまた、どこかでそんな魂の行き来を体験し、それを自分なりの言葉で紡ごうとしているように思います。
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