香りの沼って本当に深い…。2月にisutaが開催した調香のワークショップイベント「isuta LAB(イスタラボ)」を運営しながら、そんなことをひしひしと感じました。
当日は、16種類の香料を自由に組み合わせて“自分をごきげんにする香り”を作る体験を提供しましたが、「こんな香りがいいな」というざっくりしたイメージを実際カタチにしていくのは、なかなかに至難の業。香りは目に見えないからこそ、余計に一筋縄ではいきません。
「もう少しこの要素が欲しい」の“この要素”は、一体どの香料を足せば叶うのか…こうした難しさに直面するたび、調香師さんって本当にすごい!と感心してしまうのです。
今回は、その“調香師さんパワー”を存分に享受して「私だけの香り」を手に入れた、エディター・toonaの贅沢体験を自慢させてください。
香水を“嗅がずに買う”には理由があるのです
このコラム連載『トーキョーごきげん倶楽部』でも再三にわたって“香り語り”をしてきましたが、特に最近は、“これまで選び取ってはこなかったけれど、出合ってみたらツボに刺さる”香りに惹かれています。
ただし、“選び取ってこなかった”ということは、直感であまりピンとこなかったということ。ちゃんと知ればこんなに魅力的なのに!というこの“印象の壁”を壊すためにやっているのが、「嗅がずに買う」という荒技です。
例えば、ニッチフレグランスのセレクトショップ「NOSE SHOP(ノーズショップ)」で、1.5ml~2mlの超ミニ香水を片っ端から買ってみたり…。
イメージから香りを作る、「fog」のフルオーダー
それから、「調香師さんにイメージを伝えて、オリジナルで香りを作ってもらう」というのもその1つ。これが、今回の本題です。
この体験を叶えてくれたのは、福岡を拠点にオーダーメイドの精油調香を手がける「fog(@fog___perfume)」というブランド。オンラインストアで「mulch perfume / full order」(税込1万2100円)を購入し、注文時の『備考欄』にて細かい希望を伝えることで、フルオーダーのマルチパフュームを作ってもらえます。
fogで初めてオーダーしたのは、2022年の6月頃。夏の夜に“寝香水”として使える香りが欲しいと思い、ドキドキしながら初注文にトライしました!
備考欄には、「『夏の夜の夢』をテーマに、じわっと深みのある香りが理想」みたいな、わかりそうでよくわからないイメージを長々と書き連ね、送信。
見つけた、私の『夏の夜の夢』
さて、そこから待つこと約1カ月。ちょうど真夏に入る頃、無垢な白い布に包まれて、私の『夏の夜の夢』が届きました。
うっとりするほどきれいな琥珀色は、トップに「オレンジブロッサム」の香りが入っているから?
夜を待ちきれず、早速シュッとひと吹きしてみると、案の定すぐに柑橘の香りが漂いました。けれど爽やかでフルーティなものではなく、どこかスモーキーで濃厚な甘さのある、重〜い柑橘です。脳内はもう、熱帯夜のイメージがモクモクと…。
付属の紙には、トップ・ミドル・ラストノートの要素が明記されているのに加え、香り全体のイメージも素敵な文章で綴られていました。
真夏の夜の風景に似合うような、濃厚なオレンジブロッサムの香りから幕をあけ、トンカビーンズがミステリアスさをプラスします。
(中略)
じっくりと最後に香り立つのは、甘松香と安息香。なんとなく湿度を感じるラストです。
このメッセージでもう、「私のイメージを100%汲み取ってくれた!」ととにかく感動。
具体的に「どんな香り」ではなく、「こういうイメージの香り」と抽象的に伝えていたからこそ、自分の想像を叶えつつ、それを超える新しい香りに出合えたのです。
この体験、クセになる…。香り好きな人にはもちろん、香水迷子さんにもぜひ試してもらいたい!
対面のイベントにも参加しちゃいました
そんなこんなで「fog」の大ファンになり、そして「イメージを伝えて調香してもらう」味を占めた私。
2022年11月にジュエリーブランド「LORO(ロロ)」の直営店でおこなわれた「fog custom order event」にも、すかさず参加しました。
fogの調香師さんと、今度は対面で実際にお話しながら調香してもらえるという、夢のようなイベントです。こんなの、参加しないわけにはいかないでしょ!
ここでのエピソードは、また次回に続きます。
fog オンラインストア
https://fogperfume.buyshop.jp