すべての地域が梅雨入りを迎え、いよいよ本格的に、雨が続く憂鬱な期間へ突入してしまいました。
そんな梅雨だっておしゃれに、かわいく、しあわせに乗り切れるよう、isutaでは“梅雨にまつわるコンテンツ”を連載をお届けしています。
第9回となる今回は、サブスクリプションサービスで配信されている、おすすめの映画をご紹介。この時期にぴったりな作品を、3つの“気分”別にピックアップしました。
けだるげな雰囲気が今の気分にぴったり
雨のどんより気分をあえて引きずるような、どこか“けだるげ”な雰囲気を持った映画はいかがですか?
作品と現実がひと続きになったような、不思議な感覚に没入できるかも。
裸足の季節
5人姉妹の末娘ラーレ(ギュネシ・シェンソイ)は、イスタンブールからおよそ1,000キロの場所にある小さな村で暮らしている。10年前に両親を亡くした姉妹たちは、祖母(ニハール・G・コルダス)に育てられる。長女ソナイ(イライダ・アクドアン)、次女セルマ(トゥーバ・スングルオウル)、三女エジェ(エリット・イシジャン)、四女ヌル(ドア・ドゥウシル)らは美しく成長し……。(シネマトゥデイより)
まずご紹介するのは、トルコの小さな村を舞台に、美しい5人姉妹をめぐる物語『裸足の季節』です。「トルコ映画」というジャンルが新鮮に感じる方も少なくないのでは?
村の慣習によってある日突然自由を奪われた少女たちが、それを取り戻そうと懸命にもがく姿が描かれる本作。思春期ならではの憂いと瑞々しさが、アンニュイな映像で描かれています。終盤は、物語の行方をまさに文字通り“固唾を飲んで”見守ってしまうこと間違いなし。
現在、dTV、TSUTAYA TV、Hulu、U-NEXTで配信されています。
ユキとニナ
フランスで暮らすユキ(ノエ・サンピ)は、9歳の女の子。母親がフランス人の父と別れ、自分を連れて母国の日本に帰国すると知りショックを受ける。ユキは親友のニナ(アリエル・ムーテル)の協力で両親にもう一度仲直りしてもらおうとするがうまくいかず、家出することを決意する。(シネマトゥデイより)
親友同士の9歳の少女2人を軸とした物語『ニナとユキ』は、日本とフランスの合作映画です。
本作はなんと、台本には大まかな状況説明と登場人物の感情のみを記し、セリフを指定せず撮影をおこなったのだとか。とっても自然体な演技は、ほとんど全てがアドリブで構成されているからこそなんです。
パリの街並みも、いわゆる“おしゃれで素敵なパリ”としてではなく、子ども目線で描かれているのが新鮮。途中で登場する日本の田舎の風景には、懐かしくあたたかな気持ちが感じられるかもしれません。
現在U-NEXTで配信されています。
自分の内面と、とことん向き合いたいならこれ
ここからは、特にメッセージ性の強い作品をピックアップ。
どっぷりと映画の世界に浸りながら、自分自身と向き合ってみるのはいかがでしょう?
最高に素晴らしいこと
インディアナ州の小さな町。高校生のセオドアは、同級生のバイオレットが橋から飛び降りようとしている場面に遭遇する。彼女は数カ月前に姉を交通事故で亡くして以来、周囲に心を閉ざしていた。自身も精神面に問題を抱えるセオドアはバイオレットのことが気になり始め、州内の名所を巡る学校の課題のパートナーに彼女を指名する。嫌々ながらも課題に取り組み始めたバイオレットは、セオドアと過ごすうちに笑顔を取り戻していくが……。(映画.comより)
深い悲しみを抱える少女が、1人の同級生との関わりを通して、すこしずつ人生に光を見出していく『最高に素晴らしいこと』は、Netflixで独占配信中の作品。
どうしようもなく辛く悲しいとき、自分の価値を感じられなくなったとき、それでも自分を大切に思ってくれる人はどこかにいる。そんなことに気づかせてくれる物語です。
観終えたとき、きっとあたたかな気持ちに包まれて、周りの人に優しさを与えたくなっているはず。
ウォールフラワー
1991年、シャイで物静かな高校生チャーリー(ローガン・ラーマン)は、クラスメートたちに“壁の花”とあだ名を付けられ甘く見られていた。だが、彼の平凡な日常は、パトリック(エズラ・ミラー)とサム(エマ・ワトソン)兄妹との出会いによってすっかり様変わりする。チャーリーは初めて知る友情の素晴らしさや、初恋の胸のときめきに有頂天になっていたが……。(シネマトゥデイより)
なかなか周りに馴染むことができず、すみっこで過ごしていた男子高校生・チャーリーを中心に描かれる青春映画『ウォールフラワー』。
思春期特有の感情の揺れ動きや葛藤が、繊細に描かれた作品です。自分の居場所を見つけられるまでの孤独感や、それを見つけてからの「自分が自分でいていいんだ」と思える安堵感は、きっと多くの人が経験しているはず。
傍目から見れば華やかに見える人でも、実は心に傷を負っていたり、つらい過去を抱えていたり…そんなことに改めて気付かされるかもしれません。
Amazon Prime VideoとU-NEXTで配信されています。
ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから
アメリカの田舎町で暮らす中国系の女子高生エリーは、内向的な性格で周囲となじめずにいた。頭脳明晰な彼女は、同級生の論文を代筆して小銭を稼いでいる。そんなある日、エリーはアメフト部の男子ポールからラブレターの代筆を頼まれるが、その相手は彼女が密かに想いを寄せる美少女アスターだった。1度は拒否するエリーだったが、家庭の事情でお金が必要になり、仕方なく代筆を引き受ける。(映画.comより)
こちらもNetflixで独占配信中の、話題作『ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから』です。
人種問題やLGBTなどにフォーカスしていたり、スマホが物語のキーになっていたりと、今の時代に即した作品。主人公のエリーがアスターへ抱く想いは、恋なのか憧れなのか、はたまた友情なのか…慣れない感情に戸惑う様子がリアルで、心をぐっと掴まれてしまいます。
エリーもポールもアスターも、それぞれに何かを持っていて、何かを欠いている。まさに“ハーフ・オブ・イット(=それの半分)”な3人を見つめてみて。観賞後、“面白いのはこれから”と思わされる一作です。
憂鬱な雨の日が特別な1日になりそう
“雨の日”が印象的に描かれた作品に触れれば、これまで憂鬱だった雨が、どこか特別なものに感じられるようになるかもしれませんよ。
Be With You 〜いま、会いにゆきます
スア(ソン・イェジン)は、夫のウジン(ソ・ジソブ)に雨の日に戻ると言い残して亡くなってしまう。それから1年後の梅雨入りのころ、約束通りスアは昔と変わらぬ姿でウジンの前に現れるが、彼女の記憶は全て失われていた。ウジンは、自分のことを思い出せなくても、彼女がそばにいてくれるだけで幸せだった。(シネマトゥデイより)
日本でもヒットした『いま、会いにゆきます』の韓国リメイク作品。日本版にはない要素が取り入れられていて、随所に違いが見られるので、日本版はすでに観たことがあるという方にもぜひ観ていただきたい一作です。
1年前に亡くなったはずの妻が現れたのは、約束していた“雨の日”。こんな風に、憂鬱に感じがちな雨の日も、誰かにとってはとても特別な日であるということに、ハッとさせられます。
そして韓国映画といえば、人気俳優がたびたび“カメオ出演”することも。こちらの作品では、ドラマ『梨泰院クラス』主演のパク・ソジュンさんと、ドラマ『椿の花咲く頃』主演のコン・ヒョジンさんが、ほんの少しだけ登場しています。「こんな短時間だけ…!」と、その贅沢さにびっくりしてしまうかも。
現在は、Netflix、Amazon Prime Video、U-NEXTで配信されています。
言の葉の庭
靴職人を志す15歳の高校生タカオは、雨が降るといつも学校をさぼって公園で靴のスケッチに熱中していた。そんなある日、彼は27歳のユキノと出会い、雨の日だけの再会を繰り返しながらお互いに少しずつ打ち解けていく。タカオは心のよりどころを失ってしまったユキノのために、彼女がもっと歩きたくなるような靴を作ろうと決心する。(シネマトゥデイより)
新海誠監督が手がけるアニメ映画『言の葉の庭』。15歳の少年と27歳の女性が、雨の日だけの逢瀬を重ねながら、心の距離を縮めていく様が描かれています。何より雨と緑の描写がきれいで、“雨の日が好きになる”一作といっても過言ではないほど。
新海監督といえば『君の名は。』が有名ですが、こちらの作品も、メインとなる舞台・新宿御苑を“聖地巡礼”するファンも多く、根強い人気を誇っています。
すでに観たことがあるという方も、時を経てもう一度観てみると、物語への視点が変わっているかもしれません。
全編46分とコンパクトなため、さくっと観たい方にもおすすめです。現在はdTV、Hulu、U-NEXTなどで配信されていますよ。
アメリ
アメリ(オドレイ・トトゥ)は空想好きな女の子。そのまま大人になった彼女はカフェで働きながら、周囲の人達を幸せにするちょっとした悪戯をしてはひとりで楽しんでいる。そんなアメリがある日、恋に落ちて……。(シネマトゥデイより)
最後に紹介するのは、フランス映画の王道『アメリ』。
雨のシーンはさほど多いわけではないのですが、主人公のアメリが赤い傘をぎゅっと握る姿がとっても印象的なんです。
登場人物はそれぞれにクセが強く、アメリの目を通してみる彼らはみんなとってもチャーミング。アメリによるさまざまないたずらと、それを受けた人々のリアクションに、思わずクスッと笑ってしまうことでしょう。
「さすがフランス映画!」と思わせられる、独特な色彩美とパリの魅力的な街並みにうっとりしてしまう一作。
NetflixとHuluで配信されています。
おうち時間をもっと特別にしてくれる1本は見つかった?
いかがでしたか?雨で外出が億劫(おっくう)なら、思う存分引きこもって、映画の世界にどっぷり浸るのも手かもしれません。
思い入れのある一作が見つかれば、今まで憂鬱だった雨の日も、むしろ楽しみに感じられるようになるはずですよ。